壁面緑化は見た目のインパクトが大きく、エコで洗練された印象を与えてくれる空間デザインです。商業施設やオフィスビル、地下通路など、さまざまな場所で取り入れられているので、どんな場所にもマッチする使いやすいデザインと思われることも多いでしょう。
しかし実は、導入前に十分なプランが練られていないばかりに「思っていたような効果が出なかった」という声も少なくありません。せっかく設置するなら、満足できる壁面緑化にしたいですよね。 この記事では、よくある失敗例をもとに、壁面緑化を成功させるためのコツをご紹介します。
壁面緑化の失敗例からわかる、空間デザインを成功させる壁面緑化の使い方
天然壁面緑化の失敗例
壁面緑化には、天然の植物を使用するものと、人工の植物を使用するものの2種類があります。特に、天然壁面緑化は、天然の植物ならではの難しさがあります。
まず最初に、天然壁面緑化で起こりがちな失敗例を見ていきましょう。
枯れてしまう
植物が枯れてしまうのは、天然壁面緑化で多く起こるトラブルです。
枯れてしまう原因としては、生育のための水量不足や、水質の不適合という原因が考えられます。水は植物の生育に不可欠です。施工前の水質検査と水量調整を十分に行いましょう。

また、同じスペースに植栽した植物同士の相性が悪くて育たない、というケースもあります。複数の種類の植物を使用する場合は、植物同士の相性も考慮して選定しましょう。
剪定不足による見た目の劣化
天然壁面緑化では、見た目の劣化も起こりやすいトラブルの一つです。
適切な頻度で剪定が行えていない場合、日当たりの良い上の方ばかり茂ってしまったり、形が不揃いになってしまったりと、見た目がそろわないことによる見た目の劣化が起こります。見た目の劣化が少しでも発見できた場合は、早い段階でメンテナンスの頻度を上げましょう。
施工当初は未完成であることも
ツタ植物など、時間をかけて成長していくタイプの植物は、施工直後はまだ短くまばらです。そのため、完成イメージに近づくまで半年ほどの時間がかかってしまうケースもあるでしょう。
成長に時間がかかる植物を使用する場合は、それぞれの生育スピードも視野に入れた上での導入プランを立てることが必要です。
地下での照明不足
地下の店舗や駅の通路など、日光が届かない場所での天然壁面緑化は、照明不足になる場合があります。照明不足の場合、植物の生育不良や枯れるなどのトラブルが起こりやすくなります。
地下で天然壁面緑化を導入する場合は、日光の代わりとなる、十分な光量の照明が必要です。設置後も定期的に光量を確認して、照明不足になっていないか確認しましょう。


人工壁面緑化の失敗例
天然壁面緑化で起こりがちな失敗例は、人工壁面緑化にすることで大きく減らせます。
しかし、「絶対に失敗しない」というわけではありません。ここからは、人工壁面緑化で起こりがちな失敗例を見ていきましょう。
ボリューム不足
人工壁面緑化は、適切なボリューム感があるほうが見た目が良くなります。
なんとなくスカスカしたグリーンと、生命力が湧き出ているようなふさふさとしたグリーンでは、見栄えがまったく変わってきますよね。
人工壁面緑化は、天然植物のように成長するわけではないので、一度施工するとそのままの見た目が長く続きます。
ボリューム感は見た目のインパクトにも直結するので、ボリューム不足にならないようデザインしましょう。
色あせ
人工壁面緑化でよくあるトラブルが、グリーンの「色あせ」です。
色あせが起こってしまう理由は、UVカット加工がされていない人工植物が使われていることにあります。
日当たりの強い場所は特に、UVカット加工がされているフェイクグリーンを選ぶようにしましょう。
紫外線は色あせだけでなく、素材を劣化させてしまうこともあるので、UVカット機能のある種類を選んで防ぐようにしましょう。
空間デザインを成功させる天然壁面緑化の使い方
ここまで、天然壁面緑化と人工壁面緑化でありがちな失敗例を見てきました。
ここからは、それぞれの壁面緑化を成功させるための導入のポイントを見ていきましょう。
気候に合った植物の選定
天然壁面緑化では、施工場所が一年を通して植物に適した生育環境であるかを必ず確認しておきましょう。
日当たり、水質、水量、温度の変化など、植物の生育に必要な条件がそろっているかが基本的な条件です。
また、多種類の植物を使う場合、植物同士の相性も重要です。
生育環境が似ていて、近くに植えても問題ない、相性のいい植物を選ぶようにしましょう。
日当たりに差が出ないように配置
ビルの壁面など、高さのある場所では、上層部分と下層部分で日当たりに差が出ることもあります。
植物によっては、たっぷりの日差しが必要なものや、あまり日に当てると枯れてしまうものなど、それぞれに必要とする日当たりが違います。
植物にとって最適な日当たりとなるよう、配置を工夫してデザインしましょう。
また、地下や建物内など日光の届かない場所では、照明の光量不足に注意して設置しましょう。
定期的な管理
天然壁面緑化を美しく保つには、定期的なメンテナンスが必要です。
水量や水質はもちろん、剪定の際には虫害や病気などの確認を行って、美しい状態を保てるよう管理しましょう。


人工壁面緑化なら失敗の可能性を大幅に削減できる
「管理にコストをかけられない」という方には、人工壁面緑化がおすすめです。
人工壁面緑化なら、天然壁面緑化でありがちな失敗要因のほとんどを削減できます。
UVカット加工されたフェイクグリーンを選べば、長く美しい見た目を保ちやすくなりますし、水やりや剪定などの手間がかからないので、さまざまな制約でメンテナンスが難しい場所にも向いています。

まとめ
天然壁面緑化の主な失敗原因は、管理不足と環境への配慮不足です。成功させるためには、計画段階から「美しく育てること」を前提にした設計が大切です。
一方、人工壁面緑化であれば管理の手間がぐっと少なくなり、失敗する要因を大きく減らすことができます。場所ごとの目的や空間に合った方法で、失敗のない壁面緑化を目指していきましょう。

